インプラントの種類は何がある?
特徴を解説!
2024/07/17
インプラントは、歯を失ってしまった部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着することで歯の機能を回復する治療法です。この仕組みはすべてのインプラントに共通するものですが、インプラントの形状や表面処理の方法、術式などには様々な種類があります。自分に合ったインプラント治療を選択するためにも、基本的な特徴は押さえておきたいところです。今回は、インプラントの種類について解説していきます。
インプラントの基本的な構造は?
一般的なインプラントは、以下の3つのパーツで構成されています。
①人工歯根
インプラント治療は、顎の骨にネジ状のパーツを埋め込み、それを天然歯の「歯根」の代わりにする治療法です。顎の骨に埋め込まれるパーツが人工歯根であり、「フィクスチャー」や「インプラント(体)」とも呼ばれます。
②アバットメント
アバットメントとは、人工歯根と人工歯を接合するパーツのことです。顎の骨に埋め込んだ人工歯根の上に人工歯を装着するのがインプラント治療ですが、通常は人工歯根に直接、人工歯を取り付けることはできません。人工歯根と人工歯を接合するために、アバットメントが必要になります。
③人工歯
アバットメントの上に装着するのが人工歯で、専門的には「上部構造」とも呼ばれます。この部分が、歯茎から露出している、いわゆる「歯冠」の部分です。
インプラントの種類【人工歯】
インプラント治療に用いられる人工歯には様々な素材があり、素材によって特徴が変わってきます。
ジルコニア
ジルコニアはセラミックの一種であり、「人工ダイヤモンド」と呼ばれるほど硬く、高い強度を誇る素材です。そのため、奥歯など強い力が加わる部位にも適しています。摩耗や変色に強く、長期間の使用に耐えられるのもジルコニアのメリットです。
メタルボンド
メタルボンドは、金属の上からセラミックを焼き付けた人工歯です。内側が金属なので割れにくく、耐久性に優れています。透明感はやや劣りますが、天然歯に近い白さを再現できます。ただ、金属を使っているため、金属アレルギーがある人には向きません。
ゴールド
ゴールドは、金合金や白金加金などでできた人工歯です。天然歯に近いやわらかさがあるため、噛み合う歯に負担がかかりません。ただ、色が金色なので非常に目立ちます。そのため、奥歯など目立たない場所に使われるのが一般的です。
二ケイ酸リチウム
二ケイ酸リチウムは、「ニケイ酸リチウムガラス」というセラミックの一種を高温で溶かし、成型した人工歯です。ジルコニアに比較して光の透過性が優れているため、天然歯に近い自然な見た目を再現することができます。
インプラントの種類【構造】
インプラントの構造については上述していますが、上述の構造は「ツーピースタイプ」と呼ばれるものです。それ以外に「ワンピースタイプ」と呼ばれる構造もあります。
ツーピースタイプ
ツーピースタイプとは、人工歯根とアバットメントが別々のパーツになっており、これらを連結して使用するタイプのインプラントです。ツーピースタイプのインプラントを用いる場合、インプラントの手術が2回必要になります。最初の手術で顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯根と顎の骨が結合するのを待ってから、2回目の手術でアバットメントを取り付けます。幅広い症例に対応できるのがツーピースタイプのメリットですが、手術が2回必要になるので患者様の負担は大きくなります。
ワンピースタイプ
ワンピースタイプとは、人工歯根とアバットメントが一体化しているタイプのインプラントです。パーツの数が少ないため、ツーピースタイプに比べ費用が安価です。また、基本的に手術が1回で済むので、患者様の負担も軽減されます。ただし、ワンピースタイプのインプラントはどのような症例にも適用できるわけではなく、顎の骨が薄い場合や歯を失った部位によっては適用できない場合があります。
インプラントの種類【形状】
インプラント(人工歯根)の形状にもいくつかの種類があります。
スクリュータイプ
スクリュータイプは、ネジのような形状をした人工歯根で、らせん状に切れ込みが入っているのが特徴です。手術の際は、人工歯根を回転させながら顎の骨に埋め込んでいきます。顎の骨と接する表面積が大きいため、結合力が強く、安定性に優れているのがメリットです。近年のインプラント治療ではほとんどの場合、スクリュータイプのインプラントが採用されています。
シリンダータイプ
シリンダータイプは、スクリュータイプのように人工歯根に切れ込みが入っておらず、円筒状になっているのが特徴です。手術の際は、人工歯根をハンマーで打ち付けながら顎の骨に埋め込んでいきます。スクリュータイプに比較して顎の骨と接する表面積が狭いため、十分な結合力が得られない場合があり、強い負荷がかかったときに耐えられない可能性があります。
バスケットタイプ
バスケットタイプは、人工歯根の表面に穴が開いており、内部が空洞になっているのが特徴です。穴が開いていることで、人工歯根の内部にまで骨が入り込み、強い結合力が得られます。ただし、空洞部分にうまく骨が入り込まないと、逆に結合力が弱くなってしまい、インプラント自体が破折するリスクが高くなります。このようなデメリットがあるため、現在、バスケットタイプのインプラントはほとんど使用されていません。
ブレードタイプ
ブレードタイプは、人工歯根が薄い板状になっているのが特徴です。その形状から、かつては顎の骨が薄い部分のインプラント治療に使われていました。ですが、人工歯根の一部に力が集中しやすく壊れやすいほか、埋め込んだ部分に炎症が起きるなどトラブルのリスクがありました。このように、デメリットが多いことから、現在ではブレードタイプのインプラントはほとんど使われなくなっています。
インプラントの種類【表面処理】
インプラントの人工歯根の表面処理の種類についてご説明します。
酸化処理
酸化処理は、インプラント(人工歯根)の表面に酸化チタンを付与することで、凹凸をつくる処理方法です。人工歯根の表面に凹凸が生まれることで、顎の骨との結合力が高まります。
ブラスト処理
ブラスト処理は、細かい砂のような物質を高圧で吹き付けることで、インプラント(人工歯根)の表面を粗く加工する処理方法です。表面が粗くなることで、顎の骨との結合力が高まります。
ハイドロキシアパタイト処理
ハイドロキシアパタイト処理とは、骨形成を促進する成分「ハイドロキシアパタイト」を吹き付けて人工歯根(インプラント)の表面をコーティングする処理です。これにより、顎の骨との結合が促されます。
機械研磨処理
機械研磨処理は、専用の機械を使ってインプラント(人工歯根)のネック部分を滑らかに磨き上げる処理です。上述した3つの表面処理とは目的が異なり、プラークが付着しにくくすることを目的にしています。
インプラントの種類【手術方法】
インプラントの手術方法の種類についてご説明します。
即時荷重法
即時荷重法(そくじかじゅうほう)とは、顎の骨にインプラントを埋め込んだ当日に仮歯を装着する術式のことです。顎の骨がしっかりしており、初期固定が確立されると判断された場合に採用される術式です。一般的なインプラント治療の場合、手術をしてから3~6ヶ月くらいは歯がない状態で過ごすことになりますが、即時荷重法であれば、手術をしたその日から噛むことができ、見た目もすぐに回復することができます。
ザイゴマインプラント
ザイゴマインプラントとは、頬の骨(ザイゴマ)に人工歯根を埋め込む術式のことです。一般的なインプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込みます。顎の骨が不足している場合は別途、骨を増やす治療をしてからインプラントを埋入するのが一般的ですが、頬の骨を利用するザイゴマインプラントであれば、骨を増やす治療をすることなくインプラントを埋め込むことができます。頬の骨を利用するという特性上、上顎の歯を失った場合にしか適用されません。
All-on-4(オールオンフォー)
All-on-4(オールオンフォー)とは、4本のインプラントによって12本の歯を支える術式のことです。すべての歯を失った方や総入れ歯の方に適用される術式です。すべての歯をインプラントにする場合、身体的にも費用的にも患者様に大きな負担がかかりますが、All-on-4であれば埋め込むインプラントが4本で済むため、患者様の負担が大幅に軽減されます。
自分に合ったインプラントを選択しましょう
今回ご紹介したように、インプラントには様々な種類・タイプがあります。歯科医院でアドバイスを仰ぎながら、自分に合ったインプラントを選びましょう。
初めてのインプラント治療で、「どこの歯科医院に相談していいのか分からない・・・」という方には、「あんしんインプラント」をおすすめします。あんしんインプラントは、ドクターの技術や実績、医院の設備など、厳しい基準をクリアした歯科医院と提携したネットワークで、安心してインプラント治療を受けられる歯科医院をご紹介しています。2024年2月現在の提携医院数は145院で、2023年は14,484名の患者様のご紹介実績がございます。
その他、「初診相談無料」「安心のパッケージ料金」「頭金なし、最大120回分割払いOK」「最長10年の保証制度」など、あんしんインプラントの特徴は以下のページからご確認ください。
まとめ
インプラントの世界では続々と新しい技術・製品が生まれています。このような技術・製品を積極的に取り入れる歯科医院がある一方で、ひと昔前の技術・製品でインプラント治療をおこなっている歯科医院もあります。必ずしも新しい技術・製品が優れているとは限りませんが、インプラント治療のクオリティを高めるべく日々研鑽している歯科医院で治療を受けたいものです。